中村修人 / Nakamura Syuto

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友木一良先生の漫画「絶品!らーめん娘」至高のグルーブに彩られた、全人類が読むべき傑作

ブログをTumblrからここに引っ越したので、
前のは消してしまおうと思ったんですが、
それだとせっかく書いた記事が勿体ないかなと。
なので、いくつか再掲します。

今回は友木一良先生の漫画「絶品!らーめん娘」を読破しての感想文です。

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誇大表現が蔓延っている、そこいらじゅうに。
確かに、大げさに盛り上げた方が注目はされるだろう。
“そこそこ”とか“まあまあ”とか、
そういう曖昧な言葉は人集めに相応しくないので、
ドカーン!とハッタリをかますのも致し方無しとは思うんだが…。
如何せん、そのような謳い文句に辟易することが常々。
きっと皆様も私と同じく、その手の言い回しに幾度となく騙され失望し、
とうの昔に免疫を獲得してしまっているのではないか?

全米が泣いた!」は有り得ない、
「衝撃の結末!」は予想可能な範囲、
「激辛注意!」は言うほど辛くない、
そんなもんだよ、世の中ちゃんちゃん。

しかし、である。
頻繁に見掛けるそういった呼び文句が
誇大ではなく妥当な場合が、稀にあるのも事実。
言わば、激辛ペヤング辛さMAXみたいなものか。
(あれは…食えたけどさ、商品というより悪戯に近いと思うんよ。)

この漫画のレビューには大概、
“クソ漫画”、“エロいはずがエロく見えない”、
“下らなさ過ぎる”、“連載されてたことが異常”などと書いてある。
「またまたご冗談を。いくらなんでも大袈裟。」と思うなかれ。
私、全幅を以て諸兄のレビューに激しく賛同する。

そう、この漫画はクソな上にヌケず、
下らないという言葉以外に形容し難く、
何故これが連載できていたのか甚だ疑問である。
(噂では震災の影響でてんやわんやだった時分にいつの間にかなし崩し的に連載が決まったとか。)
そんな何の価値も見出せない作品のはず、なのだが…
私はこの作品が人生で5本の指に入る程度には好きだ。
出会いには運命を感じずにはいられない。

場所はBook Offの100円コーナー。
1巻のみ棚に置かれていたためかえって目立っていたのを思い出す。
何となく手に取って軽く立ち読みの後、目眩が私を襲った。
「これはとんでもない漫画を見付けてしまった…。
全巻揃えなきゃ死んでも死にきれない。一体何巻まで出てるんだ?」
そんな訳で全5巻をAmazonにて一気に購入、当然一気に読破。
そして、私は、驚嘆に呑まれることとなる。

最終話まで大同小異のどうしようもないエロ小話が延々と続いていたのだ。
ほとんど何のテコ入れも路線変更も無く、ただただ延々と。

タイトルに“らーめん”とは書いてあるが、全く本筋と関係ないし、
その本筋とやらも、話数が進むにつれて
“愛撫の内容が過激になっていく”という程度で、
ストーリーと呼べるような下地は存在しない。
そもそも登場人物のほとんどがラーメンを食さないまま連載終了。

じゃあ、一体何をしているのかと言えば…
裸エプロンが制服という一風変わったラーメン屋の
性知識皆無な女店員が毎度ヘマをやらかし、
それに巻き込まれた主人公が毎度勃起、
「私のせいでお客様のここはれちゃってます…。
ちゃんとさすって治しますから〜!ごめなさい〜!」で、射精。
これが鉄板である。
その他、キス、ぱい揉み、乳首弄り、スマタ、言葉攻め、
出前出張、幼児退行、スライディング、パン作り、猪の飼育、
夜だけスナックに転業などなど。
何だ、この漫画は。

荒唐無稽な雰囲気が漂うが、しかし、
この漫画はテンポが良い。恐ろしいほどに、良い。
来て欲しい時に来るべきものが来る、もしくは、
来て欲しいと思うより前に、既に来ている。
描かれている女性キャラ達も親しみのもてる絵柄で、
度し難い程どうしようもない内容を可愛らしく彩っている。
左様に様相はポップだが、定形の流れににアレンジを加え
ミニマル的手法で、硬派且つベタにウケを取っている点も特筆に値する。
つまりリズム、ネタ、キャラが全て絶妙なバランスで配合されているのだ。
正に、職人技。
これほどグルーブを感じられる漫画は類い稀である。
友木一良先生は日本漫画界のジェフミルズと言ったところか。

下ネタを扱っている漫画ではあるものの、
漫☆画太郎先生や駕篭真太郎先生や道満晴明先生のように
ドギツイ内容ではないので女性にもオヌヌメ
…と言いたいところなのだが、私の友人達には総スカン。
女性どころか同年代の男にすら同志を得られずにいる。
うう…で、でも、でも俺は…!
みんなも読もう!不必要な見聞が広まるぞ!