中村修人 / Nakamura Syuto

音楽活動報告他諸々を書き殴る

ブックレビュー:ハルオサン著「天国に一番近い会社に勤めていた話」は、俺を嫉妬に狂った化け物にした名著。

2017年6月のこと。
ハルオサンのブログ「警察官をクビになってからのブログ」を発見。

その超絶分かり易い文体と、
技術をかなぐり捨てて絵心のみで勝負している画風には好感以外に持てるものがなく、
私は即ファンとなり、更新を待ち侘びる数多くの中のひとりになった。

同じ頃、私の音楽ユニットがベスト曲集をリリースしようということになり、
心血注いで作業にあたっている最中、ふとジャケットが必要なことに気付く。
そこで私は不躾にもハルオサンにイラストを依頼、
御快諾下さり2017年12月2日、作品は無事にリリースされた。

そしてその前日である12月1日、
ハルオサンは「天国に一番近い会社に勤めていた話」
という氏のブログに再構成と再編集を施した書籍を刊行。

私はお世話になったせめてもの恩返しとして、
必ず購入させて頂きレビューを書こうと心に誓ったのだった。

んで、今である。
もう2018年1月後半。
鮮度がある内に仕上げられず申し訳なさが尋常ではない。
ハルオサン、ごめんなさい…。

本題のレビュー

ではここらで一発、礼賛に塗れたレビューを…
といきたいところなのだが、
私は今、レビューとして何を書いて良いのか、非常に悩んでいる。
読了直後には疲労感、倦怠感、危機感などがごちゃごちゃと渦巻いて、
なぜだかえらくしんどい気持ちになった。
もちろんブログの方は読んでいたので、
大体の内容は把握済みだったのだが、
加筆修正の妙もあってか、
書籍としてまとまってみると趣が全く異なっている。

内容はというと、
著者であるハルオサンが警察官をクビになった後、
ブラック企業に就職して幾度も惨憺たる目にあったり、
彼女に浮気されて振られた挙句その母親に迫られたり、
起業して大口の仕事を見事掴むも何やかんやで破談になったりなど、
控えめに表現しても糞みたいなこれまでの人生が、
可愛いイラスト付きで、無残に語られているという
なかなかパンチの効いた自虐エッセイ本である。

さて、私は何故しんどくなったのだろう。
ハルオサンに同情し、その境遇や登場人物達に憤慨したからか?
自分の落ち度と全てを背負い込み、明後日の方向に努力し続けるハルオサンに苛立ったからか?
期待よりも内容が薄く「せっかく買ったのに」とガッカリしたからか?

いや…どれも違う。
熟考の結果、認めたくないし書きたくないんだけど、
下記の解答が導き出された。
『この本には、私にとっての“羨ましい”が詰まっているのだ』

もちろん私は、ブラック企業に就職したいわけではないし、
彼女や家族に捨てられたいわけでもないし、
大金が絡むめんどくさい事態に首を突っ込みたいわけでもない。
では、何が羨ましいのかというと…。

根性!

このハルオサンの根性はなんだろうか。
悪い意味でなかなか得られない経験をし続けているにも関わらず、
全ては「警察官を辞めなかったであろう自分」になるため、
果敢にも頃合をみては職を変え、その理想像へと邁進していく。
書かれていないだけで実際は相当な精神的苦痛があったと思うが、
行動だけを見れば正に“漢(おとこ)”といった風情ではないか。

上司に「何か面白いことをやれ」と無理強いされ、
これといったアクションが取れずに硬直し、
数時間に渡って大勢の社員の前で立ち尽くす場面がある。
俺だったらその場で退職ですよ、こんなん。
しかし、ハルオサンは努力を重ね、
別の機会にリベンジを果たし、見事みんなを爆笑の渦へと叩き込むのだ。
なぜ?なぜそこまでできるのか?
その理屈は読破すれば自ずと分かることだが、
だからと言って実行できるかと言えば別の話。
根性の化け物、それがハルオサンだ。
そしてもうひとつ。

能力!

すごいでしょ、だって、書籍が出たんですよ。
そもそもブログが大人気ってだけでもすごいのに。
それに、文章力があろうとも題材がなければ筆は取れないし、
専門的な教育があろうとも絵心がなければイラストに魅力は伴わない。
しかもさ、「このブログを書き始めるまで文章も絵も経験はなかった」
なんて言うもんでからノンストップ・ザ・ジェラシー。

結果として、書籍を購入し、
ハルオサンと俺の人生を比較して、
「俺の方がまだマシwww」と嘲笑うつもりが、
ハルオサンと俺の能力を比較して
「俺、なんもできねぇ…」と落胆する始末。
ひどいよ!あんまりだ!このやろう!

SPEEDがデビューした時、
ほぼ同い年の女子がテレビで歓声を浴びているのに、
俺は学校でいじめられて、毎日何してんだろうと泣いたことを思い出しました。

まとめ

つまり、この書籍を読んだ、いや、読んでしまったことで、
自分の「世間に認められる作品を作って自身の存在を認めてもらいたい」
そんな欲求に気が付いてしまった、ということです。
嗚呼、何と痛々しい…。
そして、そのような作品を、
ハルオサンは自らの根性と能力を持ってして完成させたのだと、
そう考えると不愉快なほど羨ましいじゃありませんか。

言うまでもないことですが、
ハルオサンはこの作品を通して苦労自慢しているわけでは断じてありません。
俺がひとり勝手に指を咥えているだけです。
だって、この作品を丁寧に読めば読むほど、
ハルオサンの成長が手に取るように分かり、
それなのに!その点に一切言及していないところも、かっこよくて悔しいんです。

警察官をクビになることで得た“指針”、
ブラック企業に就職することで得た“営業力”、
ブログを始めたことで得た“文章力”、
その全てがガッチリと組み合って見事な書籍に仕上がっています。
こりゃあ、俺みたいな自意識過剰ゴミ野郎には劇物の類ですぜ、旦那。

しかし同時にこうも思いました。
『いつか、これを読んでおいて良かったと思える日が来るだろう』と。
実際、これを書き進める内、
死ぬまでにはひとつくらい「俺はこれをやったんだ」
そう思えるものが欲しいという気持ちを新たにできました。
それに、つまらないなら最後まで読めるわけがないし、
内容が薄いなら、ここまで心を掻き乱されるはずがありませんからね。

私には人生に行き詰った時にだけ手に取る秘密兵器
「死体のある風景」という写真集があるのですが、
それを観ても復活できなかった時のための最終兵器として、
この「天国に一番近い会社に勤めていた話」を愛蔵しておこうと思います。


ハルオサン、今更ですがお疲れ様でした。
素晴らしい読書体験をありがとうございます。

※死亡者の出た物件を清掃しにいくバイト、俺、やってみたいかも。

2月1日発売!ソロノイズアルバム「into 75」はJMT synthとAbleton Liveだけで作りました。

2月1日、私のソロ作「into 75」が
Hiss Noise Records様よりリリースされます。
収録された5曲全てBPM75、曲尺4分48秒です。
ジャケ↓はレーベルオーナーの野口可典さんが担当して下さいました。

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物々しい雰囲気。ジャケがこうだということは
肝心の内容も当然こうです。↓

いやぁ趣味全開ですまんすまん。
Youtubeにジャンプして頂ければ、
動画説明文から各曲の頭出しができるようにしておきましたので是非。
この作品はヘッドフォンで爆音で聴いて、
「あばー」ってなるために作りました。
皆様も「あばー」ってなって頂けると幸いです。

あ、あと、もしかしたらですが、
ドが付く程にシンプルな音構成のアルバムなので、
良い音源素材になるかも知れません。
ビートメイクに組み込むとか、
エフェクトかけるとか、上に何か重ねるとか、
いろいろ使って頂けても大変嬉しいです。

JMT synthと俺の歴史

タイトルにもございます通り、
今作はJMT synthとAbleton Liveのエフェクトを駆使して作りました。
JMT synthとは大阪に工房を構えるノイズシンセメーカーさんです。

Gizmo Musicというニッチなウェブ楽器店でその存在を知り、
シンプル且つ硬派でスタイリッシュな見た目の
NOSC10という機体に一目惚れして即購入。

その数ヵ月後、SNB2という機体も欲しくなってしまい購入。


SNB購入当時、Music Hackというサイトでライターを務めていた私は、
制作者様に許可を頂き記事を執筆、
ありがたいことに、今でも時々読まれているようです。そもそも、自分が一時的とは言えライターになれたのも、
実はJMT synthさんのおかげなんです。
以前、自分の好きな物について書くという
趣味ブログをやってまして、(現在は更新停止)
そこでNOSC 10への愛を綴ったところ、
ライターを探していた人が「面白い文章を書く奴だ。」
とお声掛け下さり、お仕事につながったんですよ。
その記事を当ブログにて再掲したのが下記↓です。

つまり、俺は当記事も含めると、
合計で4回、JMT synthについて語っているのか…。
愛の成せる業。
そろそろ新しいのも欲ちぃ…。

はい、というわけで、
JMT synthがAbleton Liveのエフェクトで
不気味にのたうつノイズアルバム
「into 75」よろしくお願い致します。
販売ページは下記↓です。※発売は2月1日から一応のこと、前作も貼っておきますね。
これを自分のレーベルからリリースしたことで、
今作のお話を頂きました。
趣味ブログの件といい、なんでもやっておくもんですね。

JMT SYNTH「NOSC 10」が好き過ぎてたまらない。

※当記事は、私の昔のブログから転載で、
JMT SYNTH「NOSC 10」について書いた文章です。

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楽器とは、音楽を奏でるものであるからして、
その音さえ良ければ本分を全うしていると
そう言えるのかも知れない。

しかし、だ。
楽器というのは安くない。
そう、驚くほど、安くないのだ。
せっかく高いカネを払って手に入れたのならば
当然、末永くお付き合いしたい。
愛着を、尽きる事なく抱き続けたい。
ではそこで“音が良い”という長所のみで
長年連れ添っていけるのだろうか?
これを俺の棺に入れてくれと、周囲に言えるのだろうか?

否、断じて否である。
音は勿論だが、デザインも重要だ。
超重要だ。

俺は黒が好き、銀が好き、硬い質感が好き、ツマミが好き。
そして何より、ミニマルなデザインが好き。
俺はブランドロゴが嫌い、カラフルな色彩が嫌い。
そして何より、持ち運びに困る重さやサイズが嫌い。

さて、こちらがNOSC 10のご尊顔である。f:id:nakamurasyuto:20180116135258j:plain
…ね?
俺が、惚れないわけが、ないだろう。
買ってしまうよ、こんなん、愛してしまうよ、一生。

そう言えば、これが何なのか説明していなかった。
これはノイズシンセサイザーといって、簡単に言えば
“雑音しか演奏できない楽器”である。

ビーとかゴーとか、鳴る。
すごく存在感のある音質で、鳴る。
よだれが、出る。
しかも、これ一個で同時に5音も出力できる。
あああああ、出る。

「え?そんなの何に使うの?」ですと?
ははは、まさかまさか、そんなことを質問されるとはね。
全く音楽というものをお分かりになっていらっしゃらないようですな。
決まってるでしょう、アンタ、こう、いい感じに使うんですよ。
しかるべき時に、こう、ちゃんと、バッとさ、かなり、かっこ良く、さ。
はは…は…。

当シンセの制作者であらせられるJMT SYNTH様は
他にもこういった知的にクレイジーなノイズシンセを
多数制作なさっている最高の楽器メーカーである。
皆の者、ひれ伏して。今すぐ。

NOSC10、生涯あなたを愛すだろう。


こちら↓で買えます。皆様、是非。

近況と最近よく聴いてる10曲(2018年1月)

最近、気が気じゃないんです。

1.どうしても受けたい仕事があって気が気じゃない

俺の所属してる楽曲提供ユニットusual nameに、
「お声掛けするかも知れません。」
っていう程度にお話頂いてる案件がありまして、
それにどうしても関わりたい!
いやもうね、仕事の内容が超魅力的なんですよ。
ですが、なかなかクライアントから連絡来ず、
確定のメールを待つ毎日で気が気じゃありません。
しかも二件あるんですよ、そう言うのが。
あーツライッ!メールはまだかっ!

2.Twitter Accountの企画ライブのことで気が気じゃない

前の記事にも書きましたけど、
初ライブで初企画でレコ発ですからね。
初だらけで気が気じゃありませんよ、そりゃ。
しかも触れてませんでしたが結成一周年なんですよね。
諸々良い結果で終わりますように…。
2月9日の金曜日、皆さん是非のお越しを!

3.ドラムを叩く機会が多くて気が気じゃない

上記の2月9日もそのひとつなんですが、
今年、既に何回かドラムを叩く機会が決まってまして、
とにかくもう気が気じゃないんですよ。
昨年、もう二度と叩かないくらいの気持ちで
ドラム演奏から離れてしまった結果、中途半端なブランクが…。
じゃなぜ復帰するのかと言えば、理由は実にいろいろです。
もうやらん!と決めたことを撤回するのは
かなり恥ずかしいことだとは思うんですけども、
今年は頑張ると決めた以上、やり遂げたいと思います。
昨日一昨日と早速スタジオで叩いたのですが、
思ってたよりは下手になってなかった…気がします。

他にも細々ありますが、大きいのはこの三つ。
ホント、心身に障りますよ、この状況。
というわけで、本題の最近頻繁に聞いてる10曲、貼っておきます。
お読み下さり誠にありがとうございました。


2月9日(金)Twitter Accountのレコ発にして初ライブ「Brutal Attack Ceremony」詳細&出演者公開(お得?な情報付き)

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私と松木晃大くんとのインダストリアルロックバンド、
その名も「Twitter Account」。
1st album「Love me!」のCDリリースを記念しまして、
2月9日(金)に池袋手刀にて主催イベントをやらかします。
※因みにウェブではリリース済み
しかも、この日がそもそも我々の初ライブでありますから、
レコ発、初ライブ、初企画の三重苦でございます。
皆様、是非この馬鹿共を笑いにいらして下さいませ。
詳細は下記でございます。

【イベント詳細】

「Brutal Attack Ceremony」
1st album「Love me!」CD Release Party
主催…Twitter Account(松木晃大&中村修人)
日時…2月9日(金)
会場…池袋 手刀
料金…ticket1500円+1drink=2000円
時間…17:00open / 17:45start /  22:00close

【クソみたいなお得情報】

イベント当日の限定キャンペーンとしまして、
我々の1st album「Love me!」(1000円 / 6曲入り)
を2枚ご購入頂きますと…
更にもう1枚無料でプレゼント致します!

【出演者様ご紹介】

共演者様は屈強な個性と攻撃性を兼ね備えた方々のみです。
他所では味わえない濃過ぎる音楽体験があなたを待っている!
No.1「火重-koe-」17:45~18:15
海の上のプールサイドの佐藤信一と俺の2ピースバンド

No.2「sanmi」18:30~19:00
様々な実験音楽に精通する孤高の音楽家
SANMI - sanmi

No.3「Gemini 14」19:15~19:45
正体不明
https://gemini14.jimdo.com/

No.4「World Wide Size」20:00~20:30
陶酔感抜群!リズムとノイズのカオスユニットhttps://worldwidesize.tumblr.com/

No.5「直江実樹 & sanmi」20:45~21:15
ラジオ奏者として著名な直江氏とsanmi氏による激熱即興http://blog.goo.ne.jp/mikinaoe42_12

No.6「Twitter Account」21:30~22:00
僭越ながら我々がトリを務めさせて頂きます

“Twitter Account” We are Japanese shit band.

【早見表】

2月9日(金)@池袋手刀
1500円+1drink=2000円
17:00 open / 17:45 start
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17:45~18:15 火重-koe-
18:30~19:00 sanmi
19:15~19:45 Gemini 14
20:00~20:30 World Wide Size
20:45~21:15 直江実樹 & sanmi
21:30~22:00 Twitter Account

爆音ブチかましたる。

我々はアルバムの収録順通りに演奏していきます。

しかしそれだと全く尺が足りないな。
どうしましょ…。
ま、それはそれとしまして、
3台のアンプから同時に歪んだベースが爆音で鳴ってて、
野郎ふたりが歌いもせずにギャーギャー叫んでるバンドって
あんまり存在していないと思うので是非。
機材に関しては下のブログ記事に書いてありますので、
ご興味のある方はこちらも是非。

というわけで2月9日、頑張ります。